01:まずはあなたのお名前をどうぞ。
D. Chocolatemanです。
02:完結した作品名……この質問で取り扱う作品の名前をどうぞ。
『Deadly Dinner(デッドリーディナー)』です。
“Deadly” は「死人のような」という子蜘蛛のアンデッド設定そのままの意味と、作中でウイングが解説してる食人行為(カニバリズム)を指した「許されざる」という意味、この二つを同時に持った英単語です。
あと「致命的な」「執念深い」「激しい」「痛烈な」「甚だしい」という意味も。
頭文字D&D、尾文字Y&Rで韻を踏んだつもり。新・能力名でもあり、意味的に内容とちゃんと絡んだタイトルでもありますし、それなりに覚えやすいタイトルになったかなと思います。
ちなみに5話までは良いタイトルが思いつかず、『White vamp』というヤッツケタイトルだったのですが、6話から変更させて頂きました。
03:この作品を思いついたのはいつ頃ですか?
一作目の『Play house family』を練っている途中で思いつきました。
04:どんな経緯でこの話を作りましたか?
原作沿いはハンターに限らず描いてみたいなあと思っているもののひとつだったのですが、『Play house family』のオチがまとまってきた辺りで「続編で原作沿い……いけるか?」と思いつき、その伏線を『Play house family』に練りこんでストーリーを再構築。
最初は『Deadly Dinner』でヨークシン編までやってシリーズ終了のつもりだったんですが、『Deadly Dinner』の構成を整えている途中で、これは長くなってしまうなと思ったところにテレビで『スパイダーマン』がやってまして、「いっそのこと三部作だと三幕構成にもなっていいかも」ということで、三部作になりました。蜘蛛繋がりなのは偶然です。
05:構想にどの位時間をかけましたか?
ストーリー全体の屋台骨は組み立て済みですが、細かい小ネタなどはキーボード打ちながら考えていました。
06:構想、設定の裏話などありましたら今ココで教えて下さい。
今作の後半でキルア視点で描写したことなんですが、シリーズ通して、子蜘蛛は「闇側の愛情を受けて育ったゴン」なイメージで書いてます。全く違うベクトルに向いている同じ性質。ゴンと同じ性質でもって闇側に突っ走っている。二次創作だし、原作の主人公を踏襲するのもアリかな、と思いまして。だからキルアは子蜘蛛とゴンの間で揺れ、ヒソカは子蜘蛛を気に入ったわけです。ただし彼の場合、ゴンのことは最高級の青い果実として、子蜘蛛のことは同族として。真逆の気に入り方。
ゴン&子蜘蛛、共通するところ
・善悪や一般理論・先入観にとらわれない、ちょっと薄ら寒い位の真っ白さ
・勉強はできないが、突然核心をつくことを言う
・理屈より直感
・残酷な行為そのものには拒絶反応を示さない。その理由の方を重視
・性の違いや恋愛感情を理解していながら、異性への接しかたがナチュラル(天然タラシ)
・キルアに興味を持たれる(笑)
ゴン&子蜘蛛、対比しているところ
・性別(闇側なら女の子が萌える、というD.Cの個人的な好みの反映)
・強化系←|→特質系
・受験番号、405番と45番
・“仲間”“身内”のカテゴリ分けのボーダーライン。ゴンの場合は「敵以外は仲間」、子蜘蛛の場合は「味方以外はどうでもいい」みたいなそんな感じです。
あとカストロとの試合でヒソカがこう思っていた、という No.032/最後の晩餐に向けて は、「カストロとの試合でのヒソカは、語尾にトランプマークがついてない台詞が妙に多い」……というところから妄想した展開です。少燃料で絶大なるパワー、妄想力は無駄にエコロジーです。
07:構想、設定で苦労したコトを教えてください。
原作に子蜘蛛をねじ込んで尚原作のストーリー展開を壊さずいられるか。
しかしとても楽しい作業でしたし、たくさん思いつく分岐やアイデアからどれを取るかで悩む、という事の方が多かったので、苦労とは感じませんでした。
08:構想段階で、ココにはこだわった、自信がある……という所は?
子蜘蛛の新しい能力と、それに付随する設定です。
ヒソカのオーラ別性格判断ならぬ、子蜘蛛によるオーラ別グルメ評価とか。
オーラに味があったら面白い、というアイデアでしたが、楽しんで頂けましたでしょうか?
自画自賛になりますが、ヒソカのオーラが醗酵系食品のハイエンド・シュールストレミングというのは我ながら上手い事言ったと思います。(笑)
オーラ別の味の特性は、本編でもちょろっと出しましたが、一応全部考えていました。こんな感じ。
・強化系/舌に刺激を与えるスパイシーさを持つ。辛み、発泡など。がっつきたくなるボリューム感あり。
・変化系/香りが強い。好き嫌いの分かれる味(ミントなどのハーブ系など)であることも。
・具現化系/味は能力のイメージそのままである事が多い。歯ごたえがあり、おなかに溜まる。
・放出系/クセがなく親しみの湧く味で、のどごしが良い。麺類系など。
・操作系/甘さを含み、上品な味である場合が多い。
・特質系/千差万別。珍味系も多く、レアな存在だが当たり外れも。
で、イルミは操作系でキルアは変化系ですが、イルミは紅茶リキュール、キルアはマスカット、と香りがあって高級感漂ってるという特徴は同じです。兄弟っぽさを出したかったので……。そして高級マスカットという温室育ちなイメージのキルアですが、マスカットはワインにすると特に男のセクシーさの代名詞・麝香の香りがするようになるという“化ける”素材なので、そのあたりも一応考えていたりします。フフ……。
紅茶リキュールもミルク入れるとガラッとマイルドになりますしね。こういう見方で萌えて頂けるといいかなーと思うんですが。
ちなみにシルバはボルドーワインのイメージ。ダンディ。
09:話やキャラをつくる際、役に立ったモノってありますか?
原作単行本と、ハンターズ・ガイド。原作沿いですから、このお話を書く時は常に傍らにありましたね。原作に忠実、っていうのが大前提で鉄則だ! と思って書きました。漢字の変換箇所とか超気をつけた(フキダシのまんま)んで、コミックス片手に読んで頂けるとまた楽しめるかもしれません。
この過程でヒソカの語尾のトランプマークも全部忠実に再現したんですが、舐めるようにしてチェックしてたらちょっと法則がわかってきまして、ヒソカのシーンで台詞のあとに記号をつけるときは以下の法則に基づいて付けました。あくまで独断ですが。
・ハート/そのまま。機嫌がいいルンルンの表現
・ダイヤ/説明のときなど平淡な台詞の時
・クローバー/ダイヤと似ているけども、ちょっとシリアス感や重要感を含
・スペード/ダークな台詞のときや、顔文字で言うと (´д`) な感じの時。ショボン。
10:スランプはありましたか?また、脱出の糸口となったものは?
とくにないです。
11:書いていて楽しかったのはドコですか?
全部です。が、イルミと子蜘蛛の掛け合いはスムーズに書けました。シャルナークもそうなんですが、マイペース操作系同士で相性いいんですかね。まったりテンポトーク。
あと今回はあまり書けませんでしたが、原作と全く同じ台詞なのに、子蜘蛛が居る事によって意味が若干違ってくる、というのが原作沿いだからこそ出来るところだと思うので、考えるのすごく楽しかったです。
あとピュアピュアなキルアを書くのがやたら楽しかったです。
12:逆に、ツラかったのはどの辺りですか?
次回作への伏線を色々張ってる時。
いや楽しいんですけど、楽しいんですけど、……ああああああ
13:これはお気に入り、自信がある!というシーン&話は?
シロノがキルアに殺害される→アンデッドとして蘇生、の一連。
天の邪鬼なもので、「他所で見たことのない展開ってなんだろう……よし!話のド途中で主人公殺そう!」ってなって作られた話と設定なので(……)、死んだ時に「えええどうなっちゃうんだ!?」と思って下さっていたらいいな、と思いつつ書きました。
あとは最後の、子蜘蛛 vs キルア。
ヒソカ vs ゴンと対になる感じで書きたかったんです。あれ、キルアばっかり?
14:今更だけどココ直したいかも!というシーン&話は?
全体的に、もっと色んなシーンをカットすべきだったかも……。
テンポ悪いというか、ダラダラしてるシーンがちょっと多すぎますね。日常ネタが多いからでしょうか。
でも書きたい事は全部書けたと思うので、このままで。
15:作品内でお気に入りのキャラは?
オフィシャルキャラは、旅団に限らず全員同列に好きです。……が、書いているうちに、いままで好きだけど思い入れはなかったイルミにこだわりをもち始めてきました。掘り下げると面白いですね、彼。原作でもまた出て来ないでしょうか。父ちゃんやじいちゃんは出てるのに。
16:周囲に好評(そう)なキャラは?
どうでしょうね。前作ではシルバにやたら人気がありました。マイフェアレディっぽい展開の上に、意識して大袈裟なほどかっこよく書いたせいもあると思います(でもシルバはやりすぎなほどダンディに書かなきゃいけない気がしたので後悔はしていない。笑)。
やっぱり、今回たくさん書いた上に婚約者云々のエピソードもあったゾルディックの面々じゃないでしょうか?
17:好き嫌いはともかく、便利でつい頼ってしまったキャラはいますか?
キャラというか……ゾルディック家の面々でしょうか? 特にキルア
18:好き嫌いはともかく、最もこだわりが強いキャラは?
ヒソカ! あの変態ぶりをいかに分析して掘り下げるか。楽しかったです。
19:その他、人物全般へのこだわりがありましたら語って下さい。
前作同様、キャラを崩さず……のつもりでしたが、今回はコメディ・ギャグが多かった分だけ、少し壊してしまいました。でも本作は子蜘蛛三部作シリーズにおいては息抜きインターバルポジションな部分なので、本命三作目では原作テイストバリバリな旅団を書きます。
20:一番気に入っているセリフを教えて下さい。
一作目の台詞や演出を引き継いだシーンが書くの楽しかったです。
21:話の中で、こう思われてるかも知れないけど実はこうなんだ、というのはありますか?
途中から、シロノの受験番号を45番に変更しました。
最初は何も考えずにヒソカの前の43にしていたんですが、ヒソカのおかげで会場に来れたのに彼より前の番号っていうのはおかしいなと。
あと、ヒソカは“死々”番ですが、シロノは45だと“死後”番になるので、ちょっとしたフラグにもなるな、と思ったので。
更に、上でシロノとゴンの対比設定を書きましたが、ゴンは405でシロノは45となるのもいいなと思い、45にしました。
22:物語とはまた別の所で、この作品をつくっていて嬉しかったコトは?
感想をたくさん頂きました! 本当に、本当にありがとうございます!
23:物語とはまた別で、ツラかった事はありますか?
私の作品の作り方は、映画を撮るときみたく、「思いつく限りたくさん撮って編集でカットしまくって完成度を上げる」というやり方をしているのですが、『Deadry Dinner』はそのボツ量がちょっとハンパじゃなかったです。人様に出せるレベルではないと判断してボツになったシーンや設定が山ほど、具体的には完成品の半分位あります。
ボツは他でリサイクルできることもあるのでいつもボツネタフォルダに突っ込んでますが、多分大半はそのまま闇に葬られます。
……ちょっと悲しい。
24:この話をつくる上で、お世話になった方はどなたですか?
読者の皆様です。
暖かい励まし、そして多くの感想、本当にどうもありがとうございます!
25:作品内で総合して、ココに一番こだわった!というのは?
原作のストーリー展開を破綻させない事、かな。
ハンター試験とか特に。ボドロは死ななかったですが、死亡者自体は出た(子蜘蛛)ので、その後のゴンからイルミへの台詞も原作とは変わっていない、そういう感じでしょうか。
26:ご自分でこの作品を自己採点してみて下さい。方法はご自由にどうぞ。
やりきったので、自分的には満足しています。
27:反省点など、ありましたらどうぞ。
・全体的にテンポが悪い。もっと端折ったりカットすべき。一応かなりしたんですが……
・途中でタイトルを変えてしまったこと。
・テンショントバしすぎ。キャラ崩壊が少し過剰。
28:一言で、この作品を表してみて下さい。
三部作のうちのインターバル的ポジション。
29:では、この作品の最も大きなテーマをおひとつ。
子蜘蛛の新能力&アイデンティティの開花。
30:最後に、読者さんやご自分に向けて一言どうぞ!
というわけで、HUNTER x HUNTER名前変換二次創作・第2部『Deadly Dinner』全37話をお送りしました。ここまで読んで頂いてお疲れさまでした。そしてありがとうございます。
感想や批評は常時歓迎しておりますので、感じたことがあれば是非お便り下さい!
そして次回作はヨークシン編原作沿い『Spider's Child』。
こちらは『Deadly Dinner』とは打って変わって重厚感のある内容、社会悪・犯罪者としての旅団の面を描いた作品にしたいと思っております。
子蜘蛛シリーズはこれで三部作完結になりますので、最後までお付き合い頂けたら光栄です。